近太郎さん 後天性 上下斜視(右目) 愛知
術前 私38歳男性です。上下斜視で悩んでおりました。先日インターネットで斜視のことを調べていると、いろんなサイトで斜視について皆悩んでいることを知りました。あるサイトで斜視についての悩みを打ち明けたところ、長年諦めていた手術が可能なことが分かり、病院探しをしたところ手術経験の多い先生とめぐり合う事が出来ました。5月25日に詳しいズレの具合等検査をし、来週血液検査の結果がOKなら手術日が決まる段取りになりました。

10歳の時髄膜炎で2週間ほど高熱が続き、同時に目に強い痛みを感じていました。
結局入院治療となりそのときにはもう複視の症状が出始めていました。半年程経った頃母親が私がものを見る時常に首を左に傾けていることに気づき、病院へ行ったところ上下斜視の診断を受けました。当時医者から言われたのは「上下斜視は治る確率が低く、手術をしても難しい」という内容でした。その時点で治療は諦めてしまい、思春期から今まで曲がったままの首で過ごしてきました。その間周りの人からはかなりの中傷を受けたり、からかわれたり大変なものでした。当然大きなコンプレックスとなりましたが、それゆえに自分としても強く生きることが出来るようになりました。今では妻・子供にも恵まれており幸せですが。子供が大きくなるにつれ、やはり治らないものかと思い、インターネットで調べはじめました。
私の場合後天性で比較的簡単な手術でだいぶよくなると言われています。しかし1回で治らないかもしれないともいわれております。いずれにしろチャレンジしてみます。

最終の血液検査の結果、体に異常なくすこぶる健康体でした。
手術が可能ですと医師に言われ、即6月16日を希望しました。
あまりにも私が悩まずに即決したので、周りの皆さんは少し唖然としていました。通常家族との相談や手術をするかどうか悩まれる方が多いみたいですね(それが当たり前なのでしょう)。私の場合27年間のコンプレックスの元だったのと手術経験が多いので迷いがなかったのでしょう。
手術は局部麻酔で筋肉には打たないそうです。上下以外に左右も多少あるのですが今回は上に上がった右目の上の筋肉を緩める手術になるそうです。手術をしながら目の位置・動きを調整しながら、1番いいところで手術終了になるみたいです。筋肉に麻酔を打たないのは眼球位置のズレの確認が取れないからだそうです。
がんばります
私の場合後天性という事で、それ以前と以後の目の見え方の違いがよく分かります。
私の場合も普段両眼とも位置にズレは無いです。病気がきっかけなので眼球を元の位置に戻す力というか実際には「首を傾けず2つ見えるの状態を1つに合わせる」といった感じです。右目が上がりますが上がっている時複視状態でものを見ると上がった方のまぶたが半分ふさがった(黒目がかぶる分)様な見え方になります。ですので眼球は上がっていますが、物は下に見えます(個人によって違うかも知れません)。
両眼視され複視状態ですと集中して物が見えません。眼球が上がった状態で安定していると、効き目を軸に上がった目の角度まで首を傾けて物を見るようになります。ですので反対方向へ首を傾けると眼球はずれます。
又、意識して首を真っ直ぐにしているとどうしても複視状態が出てきて片目をつぶる様にもなります。
医師は「眼科にも得意不得意があるので、斜視に詳しく先生の場合特に上下斜視はなかなかいじりたがらない」とも言っていました。

H16.6.16
手術
(38才)
午後2時30分:控え室で手術前の目の位置のズレを撮影
この時先生から手術の説明があり、私の場合下方向の筋肉の麻痺によるものなので上方向へ引っ張る筋肉を数ミリ後ろへ引っ張り、眼球が上に上がるのを調整する手術になりました。筋肉の調整は数ミリ単位で行うそうです。カットする長さも筋肉麻痺の手術経験の多い先生と何度も打ち合わせをして頂いたようです。

午後2時50分:手術室入室。術衣等は無く、手術用のベットにそのまま横になりました。先生から「手術は目の上の部分の筋肉をいじるので出来るだけ下を向いていてください」といわれ、この状態はほぼ手術終了までの間続きました。これが出来るかどうかが、局部麻酔になるか全身麻酔になるかの判断になるそうです。普通13・14歳位から出来るみたいです。

午後3時:血圧計を付けスタートです。先生が手術の経過をちくじ話してくださいました。最初麻酔の点眼をし、その後洗浄、(この時点でもう痛みは感じません)まだ目は見えます。しばらくたって(麻酔が完全に効いてから)右目の部分だけ穴の開いた布を被せ布を固定する枠見たいなもので顔に密着させます。目を開けっ放しに出来る治具の様なもので目を大きく開け常に下方向を見てくださいと言われました。角膜を切開し、筋肉カットです。カットしている時は目があまり見えず風景のある部分しか見えない状態です。ひと通り終了したところで両眼視によるチェックです。この時点でまだ多少上下のズレがあり、再度筋肉カットです。(これが局部麻酔のメリットだそうです。局部麻酔でも筋肉に注射をした場合は出来ないそうです)又、両眼視のチェックをしてほぼ上下の位置があったところで角膜の縫合になりました。その後軟膏を塗り、化膿止め注射をし手術終了です。(この間20分ほどです)

3時40分:化膿止めの薬をもらい帰宅。麻酔がだんだん切れていくのがわかりました。麻酔が切れて痛みが落ち着くまでに5・6時間程です。痛みの種類としては眼精疲労、偏頭痛に良く似たものです。あまり記憶無いのですが11時ごろから朝6時ごろまでは熟睡してました。(今回は痛み止めをもらいませんでしたが、是非もらってくださいね、寝るの1番楽です)

私の場合、先天性ではなく、後天性でした。
実際には下の筋肉は麻痺していたという、過去形の状態だったみたいです。
普通上下斜視の場合見る風景などにゆがみが出るようですが、ほとんどその症状は検査でも出ていないようです。
この辺が違うと思うのですが、ある程度自分の意思で目を上がった状態や正常な状態に出来ました。(実際には左目に意識を集中し、右目の意識をなくすと右が上がります)
ですので「下を向けて」といわれて出来たのかもしれません。
筋肉の麻痺は一時的に起こりずれた状態のままかたまり、又機能していたみたいです。
手術後1日目  朝6時に起床、手術後6時間目をピークに目の痛みが治まりだす。ですので起床時には十分耐えれる痛みになりました。食事を普通通り終え、テレビを見ながらまだ実際の自分の目は確認していません。その後午前8時ごろはじめての対面でした。
【感想】わ!!真っ赤。でも位置が治ってる。感動!!!
その後すぐに又眼帯をし、しっかり外して見るのは診察を受けるまでのお楽しみにとっておきました。
午前11時診察:診察室に入り初めて眼帯を外した其の瞬間。複視物がハッキリ2つ水平方向に見える。正直この瞬間あせりました。このままなのかな?でもすぐに複視状態を戻す事が出来診察。医師が光を当て状態を確認。「位置も状態もいいですね。もう普通の生活してもいいよ」といわれ「赤みを取るために炎症を止める薬を出しておきます」と言ってくださいました。「次の診察は1週間後で」ととても簡単に済んでしまったのです。
午後1時:帰宅。 こんなもんかな〜と思いつつもいつの間にか筋肉の痛みが薄らいでいました。ただ遠いものを見ていて、急に近くのものを見るとやはり治療した筋肉が痛みます。又、縫合した糸が時々ゴロゴロするぐらいです(糸は自然に溶ける物で抜糸の必要はありません)。目からよく涙が出ます。
術後2日目 朝目やにで目が開かない。洗面所で目やにを取り、目の位置の確認(今日もいいぞ!!)痛みはほとんど気になりません。糸のゴロゴロも感じる回数も少なくなりました。昨日より遠いものから近いものへの目を動かしても痛みが少なくなりました。(昨日の半分くらい)目の動きを確認する為に、鏡の前で今まで傾いていた首の方向と反対方向へ曲げてみてビックリ!!右目の眼球は上に上がらず正面を向いています。(感動!!)2日目での眼球の戻りは無かったようです。
術後3日目 どうしても仕事へ行かなければならず、会社へ車で30分かけ出勤。今日は打ち合わせの仕事が主なのでデスクワークはなし。比較的目に優しい仕事でした。多少右目が重たい(痛いという感じはもう無く)感じで一日を過ごしました。車を運転していて気づいたのですが、病気だった右目の視野が少し広がった様な気がします。一旦停止などで右を見るのが今まで苦手だったのが、ごく普通に見ることが出来るようになりました。
術後4日ごろ 現在目の赤みが引き始めています。
部分的に赤いところはありますが、全体に充血していると言った感じでしょうか。
正直赤みが引くまで、女性なんかだと気になるかもしれませんね。
それと同時に目の腫れも引いていきます。この頃になると目を大きく開けることが出来、より両眼視も出来るようになりました。

術後5・6日目:目の赤みがだいぶ取れ、同時に腫れも引き始めています。涙の量も徐々に少なくなってきました。
術後8日 術後2回目の診察です。光を当て交互に目の位置を確認。「かなりいい位置で安定しているね」との診断。その後傷口を見て「糸は溶けるので、傷口がふさがるのと同時ぐらいに溶けるか落ちるかするので安心してください」と再度説明を受けました。又、「目の赤みは血液が回っているだけなので次第に治りますよ」と言われました。現に日々赤みはとれ今日当たりは普通の充血より薄いぐらいになっています。痛みはかすかにありますが気になるものではありません。ただ暗い中で長い間映像を見ていたりすると目が疲れますね。(今日研修でプロジェクターを見続けていました。)
次回診察の時「ヘス」と言う手術前にもやった検査をしどれだけ戻ったかを調べるそうです。(確か左右の絵を一つに合わせる検査だったような)受診日は先生が気を使って頂き、「7月4日の日曜日。丁度救急指定の日なので会社休まなくてもいいよ」と言ってくださいました。(感謝)
それからもともと近視なので眼鏡をかけていますが、今までプリズムを使用していました。プリズムなしのレンズに交換しなければと思ったのですが、1月に免許更新の時新しく作ったばかりで又出費かなと思いいつもの眼鏡屋へ。昔からそこだけで作り続けているので今回は無償で交換していただけることになりました。(感謝)

遅れましたが手術の費用は保険適用で13,180円でした。

2004.8 6月に手術をしてから順調にきています。傾いていた首も治り始め、無意識でもそんなに目立たなくなってきました。(といっても28年間この状態でしたので完全とまでは・・・)複視は普段は起こりませんが、寝起きや暗いところでおきます。手術しても常に完全に一致というのは難しいですね。この前複視状態で鏡を見たところ眼球の位置のズレは気になるものでは無かったです。
今は意識しながら両目で常に物を見る事と意識して首の傾きを治す(私の場合鏡を良く見ます)事に心がけています。
2005.1 最近の状況は今ではほぼ斜頚も無くなり眼位も大きなズレも出ていないみたいです。
2005.2 私も中学時代線の入った膜プリズムの眼鏡かけていました。でもまめに手入れをしないとフィルムが曇ってしまったりするので長続きしませんでした。その後はよくは分からないのですが、レンズの中心点をずらす事で同じ効果があるということで実際のズレの半分をレンズで補っていました。